最近のAssociation Bretagne Japonの活動について

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Association Bretagne Japon   

日本語、書道担当 佐藤千絵

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Association Bretagne Japon180916 (1.0 MiB)

レンヌ市では2017年仙台市との姉妹都市提携50周年を迎えました。レンヌ市と姉妹都市協会を中心に、レンヌ在住の日本人、日本関連のアソシエーション、日本語教育を行っている大学や高校、さらに公民館などの団体が一丸となり、年間を通じて日本関連のイベントが各地で行われました。また2016年には日本をテーマに開催されたレンヌの国際見本市で、開催以来最高の入場者数を記録するなど、人口21万人の地方都市ですが市民の開放的な気質や、もともと膨大な数の文化系アソシエーションが存在していることも手伝って、ここ最近、日本文化もまた、人々の生活により深く浸透し始めているのを感じます。昨年、市民投票によってレンヌ市内に日本庭園が造られることになったのもその証でしょう。

そんなレンヌで唯一、一般の人向けに日本語や日本伝統文化を教えている機関が、アソシエーション・ブルターニュ・ジャポン(以下BJ)です。BJは30年前に設立された歴史のあるアソシエーションです。ここ10年ほどで日本の伝統文化に関心を持つ人や日本語を学習する人が倍増し、近年とても活発に活動しています。

現在会員180名、日本語学習者は約80名で、5レベル全8クラスあります。教師を除く運営陣は全員フランス人です。数年前までは日本へ行ったことがない幹部がほとんどで、日本人との交流も乏しく、イベントも内輪で楽しむといった雰囲気がありました。しかし日本語学習者が増え、BJの規模が大きくなるにつれ、日本との交流を重ねる必要性を感じ始めていました。そして2014年より会員から希望者を募って、日本旅行が開催されるようになりました。これをきっかけに幹部の多くが日本を訪れるようになり、BJの雰囲気も大きく変わり始めてきたのです。

「日本にフランスが好きな人が集まるBJと同じような団体が存在しないだろうか。」「お互いに行き来して文化の紹介やホームステイを体験してみてはどうだろうか。」というアイデアはかねてから出ていました。日本でフランス語を学ぶ知り合いに声をかけるなど、地道な呼びかけをしていたのが功を奏し、2016年に大妻女子大学の日本文学科の先生より連絡をいただきました。「日文科の学生たちこそ自国の文化を海外に発信できる立場にあるのではないだろうか。」

こうして2018年3月、BJと大妻大学との合同企画による【Nihon Deiz日本祭】(Deizはブルトン語でjournéeを意味します。) がレンヌで開催されました。大妻女子大学から10名の学生が来仏し、日本の伝統文化をより多くのレンヌ市民に体験してもらおうと、書道、茶道、浴衣、折り紙、切り紙、風呂敷、日本語入門、縁日といったワークショップを行いました。大妻側では各ワークショップの企画とその担当者の選考。BJ側はプログラム、エクスカーションの企画、ホストファミリー、会場手配、通訳の確保などと、今までBJが開催してきたイベントとは異色の任務に、戸惑う場面もあったようです。

私は主に、学生のサポート、大学とBJの橋渡しにあたりました。経験の少ない日本の学生にとって、外国人向けのワークショップを企画するのはひと苦労です。何を教えればいいのか?という初歩的な段階でもわからないことだらけです。BJで普段ワークショップを担当している先生から助言をもらいながら、学生らしい、普段私たちが思いつかないようなアイデアに富んだワークショップの企画ができあがりました。さらにレンヌ大学に留学中の日本人学生や、日本語教育が盛んなレンヌ2大学の学生のアソシエーションにも声をかけて、学生同士の交流会を企画し、独自に準備をしてもらいました。こうしてBJだけでは扱いきれないプログラムも、レンヌの学生の支援で充実した内容となりました。

BJの幹部はフランス人のみです。しかも全員ボランティアです。初動が早い日本人と、時間に迫られないと動き出さないフランス人、それぞれのやり方は尊重しながらも交通整理をしないと事故につながりかねません。仲介に入っていた私は、受け取ったものをどう伝え、そして処理してもらったものをまたどう相手に返すか、という作業を繰り返すなかで、伝える前に私が一人で処理しすぎていることに気がつきました。せっかく生じたカルチャーギャップを私が無意識に処理してしまっていたようです。これでは何の進展もありません。それからはギャップが生じたらやんわりと伝えて、その後はフォローにまわる、という方法に切り替えました。今後長く交流を続けていくためにも、カルチャーギャップを双方で経験することは重要な鍵になると思います。

日本語以外にコミュニケーションの手段がない、という状況は始めから想像されていたので、それぞれのワークショップであらかじめ企画書を作り、通訳の準備や、日本語学習の経験のないメンバーは会場設営にあたるなど、念入りな準備がされていきました。新しいイベントで、会場の規模や各アトリエの人数制限もあり、宣伝する範囲や当日の来場者数が心配されましたが、予想をやや上回った約300名が訪れました。会場準備から打ち合わせ通りにテキパキと動く学生たち、そしてフランス人ボランティアが見事な連携プレーをとり、無事にイベントが終了しました。通訳で参加したフランス人の日本語学習者たちには大きな自信となりました。

そしてイベントから数カ月が過ぎたこの夏、また新しい動きがありました。レンヌ大学の学生やホストファミリーになった人たちが来日し、大妻女子大学を訪れました。茶室で茶道を体験させてもらい、また新たな交流が生まれました。

小さなきっかけから、多くのつながりができていくのは嬉しい限りです。イベントの準備中には、様々な方面から貴重な助言や情報をいただきました。こういう時は少しでも多くの方々のアイデアや力が必要となります。今後も人と人とのつながりを大切にして、交流の場を提案していきたいと考えています。

https://bretagne-japon.org/


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レンヌ大学の学生たちと市内観光、レンヌ市庁舎広場にて


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浴衣のワークショップの様子


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教室を半分ずつ使用して折り紙と切り紙のワークショップ